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2009.05.12

"キャスト"を、一生を賭けることができる職業にしてほしい

現場と中枢

僕の勤務先を、ほぼすべてにわたって凌駕しているTDR。

しかしながら、その一番の問題点・うまく行っていない部分は、
逆に言うと、僕の勤務先が、唯一凌駕している点は、
ここだと想う。


アメリカのディズニー社では、パートタイム、つまりアルバイトから始まって、フルタイム……つまり正社員として会社の中枢で働いている人は少なくない。現場を知り尽くした人が会社の中枢で活躍できる仕組みができているのである。

一方で、東京ディズニーリゾートはどうだろうか。

TDRの影を踏んで: 第33回 現場を知らないくせに


断絶があるように、ひとりのゲストに過ぎない僕の目から見ていても、感じる。


私の勤務先は、”パートタイムからの登用制度”という面では、OLCさんほど整備されては居ない。
しかしながら、現場業務は正社員主体でやってきた。だから、社長にいたるまで、みな現場を熟知している。現場からのたたき上げだと言っても良い。


26年前、TDL開業に携わった正社員さんたちは、
アメリカに修行に行き、現場で特訓を受け、体験的に学んだことを、アルバイトさんたちに伝授して、創意工夫も重ねながら、世界一のオペレーションを組み上げた。
はじめっから幹部社員ではあったけれど、現場感覚も当事者意識も、これ以上ないほど備わっていただろうし、なにが大切なのか、体感的に学び取って来られたはず。

日本の製造業の強さは、戦後、ブルーカラーとホワイトカラーが分離しておらず、現場でものを考え、改善を積み重ねてきたことにある・・・と言われる。私自身、製造業で働いていて、それは事実だと感じる。OLCさんが世界一のオペレーションを組み上げることができたのも、この伝統の延長線上にあるのではないだろうか。

ただ・・・・・OLCさんの場合は、制度上、ホワイトカラーとブルーカラーが分かれていた。
そして、現場を立ち上げた実務経験を持つ、第1世代の正社員さんたちが引退されたあたりで、断絶が顕わになったんじゃないだろうか。

人手不足?

OLCのアルバイトさんには、優秀な人材がたくさん居られる。

たとえば・・・実は、某国で有数のレストランチェーンを経営してて、趣味と勉強のためにキャストをやってる・・・なんてひとさえも居られた。

しかし。
その才能を継続的に活かす場が無いから、お辞めになる。多くは数年で。
かくして、TDRはいつもいつも人手不足。

素敵なキャストさんがお辞めになられて、外で活躍されているという消息を耳にするたび、とても嬉しいと同時に、すっごく残念です。
舞浜で、その力を活かしていただけたなら、もっともっと素晴らしいパークになるだろうに。


2つ課題があるように感じています。
 - ひとつは、登用された人が、現場から切り離されてしまうこと。現場が大好きで、ゲストと触れてこそ輝く人が、デスクワークばかりになってしまい、消耗してしまわれる。
 - ひとつは、アルバイトさんの多様な能力を、引き出し育てる舞台が、あまり用意されていない。企画力・経営力・プレゼンテーション力などなど、機会を与えてこそ発掘できるし磨かれる。
もし僕がOLCの経営者なら。
イベントの企画も、業務改善も、アルバイトさんも参画したプロジェクトチームを編成して行うなぁ。


繁栄の源・衰退の原因


とはいえここ2年ほど、キャストさんのモチベーションが上がっているように感じます。
それは、この断絶に風穴が空いたからなんじゃないか・・・って、実は、想像してます。
社長さんは変わったけれど、今のモチベーションの高さが、ずっと続いてくれるといいなぁ。


こんな言葉を、しばしば耳にします。

成長しないと、衰退する。

OLCのいまの社長さんも、そうおっしゃってる。
でも、ほんとうにそうなんでしょうか。
そしてその成長って、売上額や利益を増やすことなんでしょうか。

ひとを大切にする。
そうすれば、もっと少ない人数で、運営できるかもしれない。
もっと深い満足を、お客さんに与えられるかもしれない。
派手な設備投資を、しなくてすむかもしれない。

事業が拡大すれば、問題点は希釈されやすい。
でも、根はそのまま。状況が変われば、一気に倒れます。
もっとお客さんを集めたり、もっと新しい事業を始めたりすることよりも、質を深めることを、いまは考えるべきなんじゃないかなぁ・・・

5/15追記

僕自身は、ひとりのゲストに過ぎないので、OLCさんの社内でどんなことが起きているのか、知ることは出来ません。

ただ、実感として、こころの底から望んでいることがあります。
それは・・・

”キャスト”を、一生を賭けることができる職業にしてほしい

きっと可能です。OLCさんが明確に意図を持てば。


OLCさんは、キャストを、あこがれの職業にした。
・・・これは偉業です。なかなか出来ることではない。

そしていま、数千人もの”なにが大切か”を体験的に学んでいる人財が、OLCさんには居る。OB・OGも含めれば、数万人。
どんなプロジェクトをはじめるときでも、必ずその中に、求めるスキル・才能・能力の持ち主が居るはずです。

モチベーション・価値観・能力が3つ揃ったチームを、容易に組める。
そんな会社が、果たしてどれだけあることか・・・。
OLCさんの最大の財産は、キャストさん。私はそう感じています。


しかし、私が知るだけでも、たくさんの素晴らしいキャストさんが、お辞めになられました。
理由はさまざま。
 - 家庭の事情で実家に帰る
 - ゲストと直接触れる職種を続けたい
 - スキルを活かした仕事につく
 - このまま続けても、先の見通しがたたない
 - 本業に戻らなければ
 - 経験を活かして、あたらしい事業をはじめたい
 - 正社員としてのキャリアを積みたい
などなど・・・。
でもたぶんどの理由も、OLCさんも舞台を用意することが出来そう。
用意されていたなら、大多数のかたは応募されたのではないかなぁ。

外に羽ばたかれても成功しているのですから、
価値観を熟知し、愛着もあるOLCさんの中でなら、もっと力を発揮されたかもしれない。


僕がOLCさんの経営者なら。
 - プロジェクトを立ち上げる都度、メンバーは、社内公募&オーディションを中心に選びます。
 - キャストさんが、キャリアプランを相談できる窓口を、設けます。
 - 正社員も、新卒採用よりも、社内公募を主体にします。
・・・もしかしたら、すでに取り組んでおられるのかもしれませんが。

OLCさん最大の課題は、
OLCさん最大の財産を、活かしきれて居ないこと
・・・私は、そう感じています。もったいないっ!!!

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